実家をラボにする#3工事の見積もりをもらいました
東京都にある実家の1階部分を、ラボに改装していく話の3回目です。
保健所の事前確認を終え、改めて大工さんに下見に来てもらいました。
具体的な内装工事の方法を決めていきます。
営業施設の共通基準は以下のようになっています。
床:タイル・コンクリートなどの耐水性材料で排水がよく、清掃しやすい構造
内壁:床から1メートルまで耐水性で清掃しやすい構造
天井:清掃しやすい構造
これに従い、下記の材料を使って見積りをお願いすることにしました。
床:長尺シート
内壁:主にキッチンパネル
天井:塗装
「キッチンパネルは衛生面や清掃のしやすさは一番ですが、天井まで全部屋に貼るとなると工期も延びるしそれなりの予算になるので、見積もりを見てまたやり方を考えましょうね」
と猪股さん。
さらにキッチンに食洗機を導入したいと追加のお願いをし、見積もりを作成してもらうことになりました。
「コンセント位置と、壁付けの棚を設置したい場所があれば予め教えてください。」と大工さんに言われたので、図面に書き込んでお渡しします。
現在のキッチン。
工事の進行と同時に、商品開発を兼ねて母と一緒にお菓子やパン作りを始めました。
実家をラボにする#2保健所との事前相談
東京都にある実家の1階部分を、ラボに改装していく話の2回目です。
前回の内装業者さんと水道屋さんの下見を経て、簡単な図面を書いてもらいました。
菓子製造業許可を受けられる営業施設基準に沿っているか、まずは管轄の保健所に確認してもらいます。
こちらを基にチェックする限り問題はなさそうなのですが、写真左手の木製引き戸がそのまま使用できるのかが問い合わせなければ分からないポイント。
東京都の保健所はここで調べられます。
23区、八王子市、町田市以外では、いくつかの市をまとめた担当保健所になっています。
電話すると、予約などは要らず図面を持ってそのまま来てくださいとのことでしたので、行ってみます。
作業場の基本構造は問題なし
図面を見て頂いたところ、基本構造はこのままで問題ないと言ってもらいました。
木製引き戸も「密閉できるならばこの扉でOK」でした。
せっかくなので、気になっていたことを聞いてみることにします。
菓子製造業の規定「施設は、製造、発酵、加工及び包装を行う場所、製品置き場その他の必要な設備を設け、作業区分に応じて区画すること。また、作業場外に原料倉庫を設けること」
区画とは、扉で仕切られることを指すのか?が疑問でした。
答えは「作業台を分ければOK」
うちの場合、キッチン・リビング・寝室のスペースから成る作業場はひと繋がりになっています。
「区画の目的は作業時の混入を避けることなので、各工程の作業台を分けて注意をすれば、扉で仕切る必要はない」とのこと。
もちろん、仕切ることができれば安全性が高まるので望ましいとのことですが、扉で仕切られた各部屋ごとに従業員専用手洗い設備を設置しなければなりません。
扉を触ることで汚染が広がる危険があるため、扉で仕切られた部屋ごとの手洗い設備が必要なのだそうです。
飲食店営業許可も取得できる
担当の方「菓子製造業許可の取得とのことですが、飲食店営業許可も予定していますか?」
私「販売するものは焼き菓子なので要らないかなと思っているんですが…取れるんですか?」
担当の方「洗浄槽を二槽式にして、給湯設備があればこのままで取得できると思いますよ。」
そう言われると、どうせなので取得したくなります。
私「もしかしたら菓子製造業許可でパンを作ることはあるかもと考えているのですが、飲食店営業許可があると何ができるようになるんですか?」
担当の方「たとえばおかずパンのようなものを作るとき、菓子製造業許可では具材を完全に中に入れ込んだものしか作ることはできません。飲食店営業許可があれば、具材が外に出ているもの、具体的にはサンドウィッチなどを作ることができます。」
そんな違いがあるとは知りませんでした。
という訳で何かに役立つこともあるかも知れないので、ラボは菓子製造業許可と飲食店営業許可を受けられるように作ることにします。
「飲食店営業許可に該当する作業を行う場合、本来は違う作業場で行うことが望ましいですが、できない場合は作業時間を分けるなどして、混入に気を付けてください。」とのことでした。
トイレに問題あり
作業場は事前チェックをクリアできたのですが、思いがけないところを見落としていました。
それがトイレ。
既設のトイレをそのまま使う予定でしたが、手洗いがトイレ本体と一体になっている形のものでした。
しかしトイレに設置が必要な従業員専用手洗い設備としては、一体型は認められないとのこと。
ならば新設すればいいのですが、従業員専用手洗い設備は外径が幅36㎝×奥28㎝以上であることが目安で、うちの狭いトイレにはとても付けられそうにありません。
そのままを担当の方に伝えたところ、並びにある風呂場横の脱衣所についている洗面台を使えるかもしれないとのこと。
「営業設備は住居と完全に分かれていることが絶対条件なので、お風呂場が残っていることが問題になるかもしれません。取り壊しが必要になる場合もあります。確認してみますね。」
これは持ち越しになりました。
用途地域の確認
見落としていたところがもう一つ。
それは用途地域の確認。
その土地が都市計画法上の用途地域に指定されている場合、住居・商業・工業など市街地の大枠としての土地利用を定められており、それに基づき建てられる建物の種類が決められています。
本来、物件を探すときにまず確認をしておくべきものなのですが、実家だったのですっかり忘れていました…。
保健所の営業許可基準は通っても、用途地域としてNGだったら施設を作ることはできません。
用途地域の確認は各自治体のHPなどで簡単にできます。
慌てて調べたところ、うちは第二種低層住居専用地域であり、今回作るラボに関しては問題がないとのことでした。
ひと安心。
トイレの洗面台の結論
担当の方からその日のうちに折り返しの連絡を頂きました。
「お風呂場を全く使用しないのであれば、取り壊さなくても問題はないです。ただし、トイレから洗面台(従業員専用手洗い設備)へはまっすぐに行けるようにしてください。間に扉があるとNGです。」
作業場と同じく、扉を触ることで汚染が広がる危険を防ぐようにとのことでした。
保健所との相談は終了
ひととおりの確認が取れたので、事前相談は完了。
この計画から変わることがあればまた都度相談してください、とのことでした。
手引きだけでは分からないところ、見落としているところもあり、事前相談はやはり重要だなと。
工事をしてしまってからNGになっては勿体なさすぎます。
保健所の担当の方も親切な対応をして下さったので、遠慮なく疑問をぶつけられて良かったです。
これを基に、実際の工事に向けて進めていきます。
実家をラボにする#1菓子製造業許可を受ける施設をつくるには
東京都にある実家の1階部分を、ラボに改装していく話を書いていきたいと思います。
私の実家は祖父母との二世帯住宅でしたが近年二人とも他界し、祖父母の住まいはそのままになっていました。
祖父母の家。
リビング、キッチン、寝室と祖父の部屋があります。
同居していた祖父母の娘、つまり私の母は、かれこれ30年近く、菓子・パン研究家として活動しています。
主には雑誌などへレシピを掲載したり、単行本を出版したりしています。
「作り方を教えるのもいいけれど、自分が作ったものを誰かに直接食べてもらいたい」と母はたびたび言っていました。
母は仕事以外でも毎日のように菓子やパンを作っています。
しかしどれだけ作っても、自宅で作ったものを販売することはできません。
食品衛生法上、販売するものは菓子製造業許可を受けた施設で作られる必要があります。
営業許可は住居と分かれていることが絶対的な条件であり、自宅をメインキッチンにしてる母は、長年その想いを諦めてきたそうです。
ちょうど世の中はコロナ禍の真っただ中。
感染拡大防止のために移動が制限され、デリバリーや通販の需要が急速に高まりました。
実際の店舗にわざわざ足を運んで商品を選んで買う楽しみもあるけれど、距離や時間に関係なく商品が手に入る便利さに、これからの世の中のニーズがシフトしていくかもしれない。
通販に求める価値観が多様化していくならば、やり方次第では母が作る菓子も商品化のチャンスがあるのではないか、と思いました。
実店舗を構えるのは立地的に不利な実家ですが、菓子製造業許可を受けられる製造場所=ラボとしてならば十分に使えるスペースがある。
そう考え、「実家をラボにする」計画を私から提案しました。
母の仕事を応援していた祖母は、かねてより「あなたの仕事に私たちの家を使ってね」と言っていたそうです。
亡き祖母の後押しもあり、祖父母の家を菓子作りができるラボへと改装することになりました。
私が経営するバーの内装を担当してくれた猪股さんに、ラボの改装もお願いすることにしました。
猪股さんは、多くの飲食店を造っている方。
このような時期にも関わらず、快く引き受けてくださいました。
1度目の下見は、ラボとして改装が可能な状態なのかを大工さんと一緒にチェック。
写真は2度目の下見。
水道屋さんと一緒に配管のチェックなどをして、部屋ごとの使用用途を決めていきます。
リビング。
メインの作業場として、オーブン、作業台、冷蔵冷凍庫を配置することにします。
母のたっての希望で、今回導入する予定のオーブンが「ベイキ―プロ」
これを導入するためには
・電源が三相200Vのため、電力会社に申請が必要
・高熱を発するため、オーブン上に換気扇と、強力なエアコンの新設が必要
高価なオーブンなので「どうしてもこれじゃなきゃだめ?」と聞いたところ、「人生であと1台くらいしかオーブンを買わないと考えたら、好きなものをつかってみたい」とのこと。
そうまで言われたら仕方ない、このオーブンの設置を最重要ポイントとして考えることにしました。
オーブンが大きく、窓にかかるため窓をふさぐこと、また冷蔵冷凍庫を置いた場合の重量の負担もかなりあるので、機材設置場所の床を補強することになりました。
キッチンです。
菓子製造業許可の取得には、洗浄設備とは別に従業員専用手洗い設備が必要です。
いまのシステムキッチンは取り払い、シンク・手洗い場とガスコンロを新設することになりました。
レンジフードも壊れていたそうなので、ついでに付け替えます。
寝室です。
菓子製造業の規定には「施設は、製造、発酵、加工及び包装を行う場所、製品置き場その他の必要な設備を設け、作業区分に応じて区画すること。また、作業場外に原料倉庫を設けること」とあります。
この部屋は、加工及び包装を行う場所、製品置き場として使用します。
エアコンが古いので、リビングのものをこちらに移設することになりました。
祖父の部屋です。
上記規定に基づき、ここを原料倉庫として使用します。
だいたいの部屋の用途分けは決まりましたが、分からない点が。
リビング入り口および祖父の部屋の既設の木製引き戸はそのまま使用可能か?
施設の営業許可基準は管轄の保健所によってだいぶ差があるため、一度簡単な図面を書いてもらい、それを持って問い合わせに行くことになりました。
【レシピ】ミミガージャーキー おうちで作れるバーのおつまみ
先日公開した魯肉飯のレシピで使用した豚耳=ミミガーを使って、ビールがすすむこと間違いなしのジャーキーを作ります。
この豚耳は凍っています。
解凍してから調理してください。
材料(作りやすい分量)
豚耳 200g
塩 5g
砂糖 4g
醤油 大さじ2
酢 小さじ 1/2
ガーリックパウダー 6g
パプリカパウダー 2g(あればで良いです)
胡椒 小さじ1
豚耳を下ごしらえしていきます。
豚耳には毛が残っていることがあるので焼き払いましょう。
毛はすぐ黒くなるので軽く火が当たれば大丈夫。
焼いたら一度洗って焦げた毛を落として、再び鍋に入れかぶるくらいの水を入れ煮立て、汁ごと捨ててまた洗います。
刻みましょう。
サイズはお好みですが、今回のレシピの焼き加減は5mm大くらいで作っています。
大きさを変えた場合は、焼き時間を調整してくださいね。
先程の鍋をきれいにしたら刻んだ耳を戻し入れ、水をひたひたに入れて弱火で煮込みます。水が少なくなってきたら足してください。
弱火で根気よく、1時間くらい。
茹で汁が白く濁ったら完了。
袋に豚耳と、すべての調味料を入れます。
袋の上からよくよく揉みこみます。
空気が入らないように袋を閉じて、冷蔵庫で一晩寝かせます。
クッキングシートをひいた天板の上に、重なり合わないように豚耳を広げます。
オーブンで150度で30分焼き、そのまま冷めるまで入れておきます。
このくらい縮みました。
脂が気になる場合は、キッチンペーパーに広げて脂を吸わせましょう。
出来上がりです。
ピリ辛で噛めば噛むほど味が出てきて、ビールにとっても合います。
お好みのスパイスを加えて、アレンジされてもいいと思います。
【魯肉飯レシピ】新宿ゴールデン街のバー名物の「魯肉飯」のレシピをよかったら教えます
私は東京都新宿区の歌舞伎町にある飲み屋街「ゴールデン街」で「シーホース」というバーをやっています。
ゴールデン街では年に2回、街のお祭りをやっておりまして、その時にこの魯肉飯を販売したところ、100食が3時間足らずで売り切れるという好評をいただきました。
食い物よりも酒で腹を膨らませたい飲ん兵衛が溢れる街でも売れた、魯肉飯のレシピが以下になります。
材料(4人分)
豚バラ 500g
豚耳 50g(豚耳が手に入らなければ、豚皮や豚足でもいいと思います。別のものを使った場合は、骨など除いた実際の量で考えてください)
にんにく 1かけ
フライドオニオン 25g
干ししいたけ 10g
酒 50ml
しょうゆ 80ml
オイスターソース 10ml
黒糖 50g
五香粉 小さじ1
ごはん 適宜
豚バラと豚耳。
豚耳はだいたいひとつ300gくらいです。
実際の肉は50gしか使わないのですが、このレシピの肝は豚耳から出るコラーゲンにあります。
十分にコラーゲンを出したいので、まるごと1枚を使ってください。
使わなかった分は、別で食べてしまいましょう。(今度紹介します)
その他材料。
黒糖は粉のものが使いやすいです。五香粉はなくてもよいです。
干ししいたけは前日に戻しておきましょう。戻し汁は使います。捨てないで!
豚耳には毛が残っていることがあるので焼き払いましょう。
毛はすぐ黒くなるので軽く火が当たれば大丈夫。
焼いたら一度洗って焦げた毛を落として、再び鍋に入れかぶるくらいの水を入れ煮立て、汁ごと捨ててまた洗います。
↑この写真を使ってTシャツを作りました。販売してます!
細かく刻みましょう。
5mm大くらいがいいです。
先程の鍋をきれいにしたら刻んだ耳を戻し入れ、水をひたひたに入れて弱火で煮込みます。水が少なくなってきたら足してください。
弱火で根気よく、1時間くらい。
茹で汁が白く濁ったら完了。耳と汁を分けておいてください。
茹で汁は使います!捨てないで。
ニンニクを刻みます。みじん切り。
戻したしいたけも刻みます。粗みじん切り。
豚バラ肉も刻みます。1cm×5mmくらいがいいかと思います。
サラダ油大さじ1くらい(分量外)をひいて、ニンニクを入れ香り出ししたら、
豚バラ肉を入れます。中火くらいにします。
この工程は火を通すためではなく、豚肉の臭み消しのためです。しばらくすると油が出てくるので、
キッチンペーパーで吸い取ります。
全くなくなるまでは取らなくても大丈夫です。はじめにたくさん出てきた分を吸い取ってください。
鍋に、豚バラ肉を移します。豚耳、しいたけ、フライドオニオンを入れ、
五香粉以外の調味料を入れます。
取っておいたしいたけの戻し汁と、
豚耳のゆで汁を入れます。
両方入れてひたひたになるくらい。足りなかったら水を足してください。
このくらいの水量でOKです。全体をかき混ぜたら、
ふたをして、弱火で50分。
いい色になりました。
五香粉を入れて、蓋を開けたまま2分ほど煮れば完成。
汁ごとごはんにかけてどうぞ。
煮卵や目玉焼きをトッピングしてもいいですね。
台湾で魯肉飯を食べたときに、若干の野性味があるのが何とも言えずジャンクで美味しかった。
色々調べましたがレシピが多様すぎて正解が分からず、自分なりに試行錯誤した結果、この豚耳入りに落ち着きました。
豚耳がなかなか手に入らない時には、豚バラ肉だけでも十分美味しいのではと思います。
このレシピの厄介ポイントは「刻み」の工程だけです。
難しいことは何もないので、おうちでたっぷり時間がある今、ぜひお試しください。