実家をラボにする#2保健所との事前相談

東京都にある実家の1階部分を、ラボに改装していく話の2回目です。

前回の内装業者さんと水道屋さんの下見を経て、簡単な図面を書いてもらいました。
菓子製造業許可を受けられる営業施設基準に沿っているか、まずは管轄の保健所に確認してもらいます。

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食品関係営業許可申請の手引き(東京都福祉保健局・保健所)

こちらを基にチェックする限り問題はなさそうなのですが、写真左手の木製引き戸がそのまま使用できるのかが問い合わせなければ分からないポイント。

東京都の保健所はここで調べられます。
23区、八王子市、町田市以外では、いくつかの市をまとめた担当保健所になっています。
電話すると、予約などは要らず図面を持ってそのまま来てくださいとのことでしたので、行ってみます。

作業場の基本構造は問題なし

図面を見て頂いたところ、基本構造はこのままで問題ないと言ってもらいました。
木製引き戸も「密閉できるならばこの扉でOK」でした。

せっかくなので、気になっていたことを聞いてみることにします。

菓子製造業の規定「施設は、製造、発酵、加工及び包装を行う場所、製品置き場その他の必要な設備を設け、作業区分に応じて区画すること。また、作業場外に原料倉庫を設けること」

区画とは、扉で仕切られることを指すのか?が疑問でした。
答えは「作業台を分ければOK」
うちの場合、キッチン・リビング・寝室のスペースから成る作業場はひと繋がりになっています。
「区画の目的は作業時の混入を避けることなので、各工程の作業台を分けて注意をすれば、扉で仕切る必要はない」とのこと。
もちろん、仕切ることができれば安全性が高まるので望ましいとのことですが、扉で仕切られた各部屋ごとに従業員専用手洗い設備を設置しなければなりません。
扉を触ることで汚染が広がる危険があるため、扉で仕切られた部屋ごとの手洗い設備が必要なのだそうです。

飲食店営業許可も取得できる

担当の方「菓子製造業許可の取得とのことですが、飲食店営業許可も予定していますか?」
私「販売するものは焼き菓子なので要らないかなと思っているんですが…取れるんですか?」
担当の方「洗浄槽を二槽式にして、給湯設備があればこのままで取得できると思いますよ。」

そう言われると、どうせなので取得したくなります。

私「もしかしたら菓子製造業許可でパンを作ることはあるかもと考えているのですが、飲食店営業許可があると何ができるようになるんですか?」
担当の方「たとえばおかずパンのようなものを作るとき、菓子製造業許可では具材を完全に中に入れ込んだものしか作ることはできません。飲食店営業許可があれば、具材が外に出ているもの、具体的にはサンドウィッチなどを作ることができます。」

そんな違いがあるとは知りませんでした。
という訳で何かに役立つこともあるかも知れないので、ラボは菓子製造業許可と飲食店営業許可を受けられるように作ることにします。

「飲食店営業許可に該当する作業を行う場合、本来は違う作業場で行うことが望ましいですが、できない場合は作業時間を分けるなどして、混入に気を付けてください。」とのことでした。

トイレに問題あり

作業場は事前チェックをクリアできたのですが、思いがけないところを見落としていました。
それがトイレ。
既設のトイレをそのまま使う予定でしたが、手洗いがトイレ本体と一体になっている形のものでした。
しかしトイレに設置が必要な従業員専用手洗い設備としては、一体型は認められないとのこと。
ならば新設すればいいのですが、従業員専用手洗い設備は外径が幅36㎝×奥28㎝以上であることが目安で、うちの狭いトイレにはとても付けられそうにありません。
そのままを担当の方に伝えたところ、並びにある風呂場横の脱衣所についている洗面台を使えるかもしれないとのこと。
「営業設備は住居と完全に分かれていることが絶対条件なので、お風呂場が残っていることが問題になるかもしれません。取り壊しが必要になる場合もあります。確認してみますね。」
これは持ち越しになりました。

用途地域の確認

見落としていたところがもう一つ。
それは用途地域の確認。
その土地が都市計画法上の用途地域に指定されている場合、住居・商業・工業など市街地の大枠としての土地利用を定められており、それに基づき建てられる建物の種類が決められています。
本来、物件を探すときにまず確認をしておくべきものなのですが、実家だったのですっかり忘れていました…。
保健所の営業許可基準は通っても、用途地域としてNGだったら施設を作ることはできません。
用途地域の確認は各自治体のHPなどで簡単にできます。
慌てて調べたところ、うちは第二種低層住居専用地域であり、今回作るラボに関しては問題がないとのことでした。
ひと安心。

トイレの洗面台の結論

担当の方からその日のうちに折り返しの連絡を頂きました。
「お風呂場を全く使用しないのであれば、取り壊さなくても問題はないです。ただし、トイレから洗面台(従業員専用手洗い設備)へはまっすぐに行けるようにしてください。間に扉があるとNGです。」
作業場と同じく、扉を触ることで汚染が広がる危険を防ぐようにとのことでした。

保健所との相談は終了

ひととおりの確認が取れたので、事前相談は完了。
この計画から変わることがあればまた都度相談してください、とのことでした。
手引きだけでは分からないところ、見落としているところもあり、事前相談はやはり重要だなと。
工事をしてしまってからNGになっては勿体なさすぎます。
保健所の担当の方も親切な対応をして下さったので、遠慮なく疑問をぶつけられて良かったです。

これを基に、実際の工事に向けて進めていきます。